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XR向けレンズの開発

XRとは

XR(エクステンデッド・リアリティまたはクロス・リアリティ)とは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを映像として体験できる技術の総称です。そのため、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった画像処理技術は、いずれもXRに含まれます。

XRという言葉が生まれた背景には、VRやARなどを複合した技術が登場していることが挙げられます。たとえば、ヘッド・マウント・ディスプレイを使ったVRのゲームに、ARのコンテンツを組み合わせた場合、それがVRなのかARなのか、境界線を設けるのは難しいところです。そこで、それらを統合してXRという言葉が生まれました。

ヘッド・マウント・ディスプレイ

XRの世界を体験するためには、ヘッド・マウント・ディスプレイ(VRゴーグル)などの特殊な装置が必要になります。これは、頭に装着できるゴーグルのような形状のディスプレイで、装着することによって、大画面で動画を見たり、VRゲームを楽しんだりできる魅力ある装置です。

ヘッド・マウント・ディスプレイにはLEDの光源と小さい液晶(ディスプレイ)が搭載されていて、LEDの光をディスプレイに当てることによって、ディスプレイからの映像が直接目に届くという仕組みになっています。
カンタツは、その仕組みに必要なレンズを開発しているのです。

カンタツのXR向けレンズ

ラージ・レンズ

人間が現実の世界を目視しているとき、左右の目には微妙に異なる世界が映し出されています。 左右の目に映し出されている微妙な「位置のズレ」により、物体との距離やそれぞれの大きさを認識しているのです。 HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)もこの仕組みを使って、左右の目に少し異なる映像を表示することで立体的な空間を再構築しています。

ラージ・レンズは、HMD内側のディスプレイと目の間に配置し、網膜に焦点を合わせるための接眼レンズとして2ユニット搭載されます。

カンタツの大口径ラージ・レンズは、2枚のレンズを使用することで薄型化を図り、他社を凌ぐ高輝度と低消費電力を実現しており、映像はディストーション(歪み、変形)が最小に抑えられ、極めて自然に再現されます。これは、カンタツの高精度成形、高精度組立技術によるものです。

ポリマー・レンズ

  • ポリマー・レンズは、HMDの正面に搭載して外界を撮影するRGBカメラ(*1)用レンズで、現実世界の周囲の様子を映像として取り込んで表示したり、VR空間上の一部に現実世界の周囲の映像をウインドー表示したりするために使われます。
    このレンズは超高速のオート・フォーカス・レンズで、光学ポリマーによるレンズコアとピエゾアクチュエータで構成されます。 アクチュエータに電圧をかけることで、レンズコアが変形し、レンズの焦点距離を制御します。 従来のレンズは、オート・フォーカスにVCM(ボイスコイルモーター)を使っており、イメージセンサーとレンズの位置関係が変わるので、ユニットを高速・高精度で動かして再ピント調整を素早く行わなければならず、画像をシャープかつ正確に取り込むことが苦手でした。ポリマー・レンズは、光学ポリマーの厚みが変化するだけで、作動距離が異なる位置にある物体や高低差のある物体にピントを素早く合わせることができるので、そうした限界を解消できます。実際にオート・フォーカスにかかる時間が1ミリ秒と非常に短く、これはVCMの約10倍の速度になります。

    さらに、ポリマー・レンズでは、VCMと異なり、ピントの位置が動いても画角(映る範囲)が変わらないため、HMDで問題になるVR酔いが起こりにくいのも大きなメリットです。したがって、ポリマー・レンズは、迅速なピント合わせや高い転送速度が求められるアプリケーション、及び被写界深度や作動距離を調節する必要のあるアプリケーションに最適なのです。

  • ポリマーレンズの動作画像

このように、カンタツのポリマー・レンズは、超高速オート・フォーカス、低消費電力を実現し、オート・フォーカス時の画角の変化がありません。これは、カンタツの高精度光学設計技術、高精度嵌合技術、高精度組立技術によるものです。

(*1)デジタルカメラ。撮像素子を用いて、光を電気信号に変換しデータを得る仕組み。

アイ・トラッキング・レンズ

アイ・トラッキングとは、その名の通り人間の瞳や視線の動きを追跡・分析する技術のことです。アイトラッキング機能では、眼球の動きを仮想空間の映像に反映させることができます。これにより、アバターの視線をユーザーの視線とリンクさせ、動かすことができるようになり、VR上でのコミュニケーションがよりスムーズになると考えられています。今後のVRコンテンツへの没入感や一体感をさらに促す、期待値の高い最新機能です。
アイ・トラッキング・レンズは視線検出用の超小型カメラ用レンズです。このカメラは、HMDの内側という限られたスペースに複数個を搭載するため、超小型化が強く求められます。

カンタツのアイ・トラッキング・レンズは、世界最薄超小型、最省スペース配置を実現しながら、光学特性が優れているため、高い解像度を備えています。これは、カンタツの超小型、高性能の高精度光学設計技術、独自の高度な金型技術、超小型マイクロレンズ高精度成形技術によるものです。